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Author:beatrixxx
77年うまれ。広告業。ブログテーマは園芸→旅行へ。常にいちばんやりたいことをやる、をモットーに書き散らかそうかと思います。
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セルビア黄金週間(6)さよなら、ベオグラード

Sun.31.05.2009 2 comments
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ドイツ車とグラフィティ(“YUGO”が無い!)

さて、セルビア旅行のお話もいよいよ今回で最終回(ゴールデンウィークの話なのにもうすぐ6月ですし…)。こうしてる間にもベランダの植物たちがぐんぐん成長しております…先週は深夜残業続きで何もできなかったのだが、早く書いてしまわねばやばい!

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↑目抜き通り。高い位置にも植木鉢が取り付けられている(特殊な機械で水をやっていた)

2日ぶりに帰って来たベオグラードは、ヨーロッパの牧歌的風景だったウジツェやヴィシェグラードとは違って、もう本当にヨーロッパの都会だった。

晴天のもと、多くの人々が歩いていて、買い物をしたりカフェで語らったりしている。2日前に来たときよりだいぶ日中は気温が高くなっていて、人々はもう夏のような、リゾートみたいなワンピースとかでこの暑さを謳歌していたりする。

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↑街頭で売られている色とりどりのアイスクリーム

それにしてもセルビアの人々は、皆モデルみたいなルックス。顔も彫りが深いし、9頭身はあるんじゃないかと思うほど背が高い。最近は世界的なファッションショーでも東欧出身のモデルが多くなってきているけど、確かに、今まで行った国の中で一番女性が奇麗な国だと思う。男はちょっといかつく見えるけど…。

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↑カフェで昼間っからくつろぐ人々

あらためてここはヨーロッパの都市だなぁ、と思った。
ボロボロの建物と、社会主義時代に建てられた建物と、真新しい建物が混在していて、いかにも「東欧の都市」ではあるんだけど、それでも通りの感じなどは、別にここがロンドンだと言われても信じてしまいそう。

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↑DEPECHE MODEが来るというポスター…(やはりNWが似合う都市)

歩行者天国である目抜き通り、クネズ・ミハイリヴァ通りを抜けて、私たちは、ベオグラードで一番の観光スポット、カレメグダン公園へと向かった。

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↑入り口まで行く通りには土産物屋が並んでいる

カレメグダン公園は、30ヘクタールもの敷地を持つ、セルビアでも有名な公園だ。すれ違う人々も、明らかにセルビア人だけではない。世界中から、老いも若きも大勢の観光客が訪れている。

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↑公園に入ったところ。植生がキレイに整えられている

ここには中世の時代からの要塞跡や、戦争博物館、動物園などもあり、高台なので見晴らしがいいこともあって、人気があるのだ。
園内にはあまりにも平和な空気が流れていた。アイスクリームを食べ食べ、散歩する。

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絶景なり!  …といっても視界にはボロい建物も入るんですが

カレメグダン公園の人気のひとつは、その眺望にある。
ドナウ川とサヴァ川の合流地点に位置していて、高台からはベオグラードと、優雅に流れる川の姿が見渡せるのだ。

崖っぷちの石段には、中高生みたいな男子たちが上半身裸になって騒いでたり、ドイツ人っぽい夫婦がいたり、ベビーカーを押した子供連れのファミリーがいたりと、まさに幸せな光景。アジア人だということでどこでもジロジロ見られて随分居心地の悪い思いをしたが、ここではそんなこともない。

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↑要塞のなかで小さな子供が遊んでいる

しばしのんびりとした気分で公園内を歩く。なにしろ、とーっても広いのだ。

そして、ベオグラードという都市について思いを馳せた。古くから大都市として、ユーゴスラビアの首都としても隆盛を誇り、とはいえ幾度となく戦火に包まれ、そしてほんの10年前にも、空爆で街じゅうを破壊された都市。

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↑石垣の隙間に生えてた雑草(ヴィシェグラードでも同じのを見かけた)タチツボスミレの仲間かな?

そして今、ユーゴスラビアは存在しない。西側にも近くいち早く独立したスロヴェニアや、観光資源の豊富なモンテネグロやクロアチア(現在、団塊世代向けのツアーとかがありますからね…)に対して、セルビアは置いてかれたように思える。ベオグラードという、かつての都を抱えたまま。

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↑崖の下を見下ろすとポピーの色鮮やかなオレンジが眩しい

しかしここにいると、そんな悲劇の歴史なんか微塵もないように思えるほど、人々が幸せそうに見えた。みんなこの公園が大好きなのだ。朝も昼も夕方も賑わっていて、何本もの木が風にそよぎ、芝生の上では犬が死んだようにゴロンと横になって眠り、ベンチでは人々が談笑している。

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↑戦争博物館があります、みたいな表示かな?

私は、ベオグラードに来るまで、ベオグラードの印象なんか微塵もなかった。はっきりいって、ゴールデンウィークに東欧へ行きたいなと思って、安いアエロフロートの乗り継ぎ的に一番時間を有効に使えそうだったのがベオグラードだったのだ(会社員なら解るはず、この時間も金もムダにできないGWの旅行!)。正直、大して楽しみにも思っていなかった。

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↑例の、ドナウ川とサヴァ川の合流地点 夏は川沿いに店や屋形船(?)が出たりするらしいが、臭うらしい

そもそもベオグラードの前評判を調べると、「バックパッカーがスルーする(ほど退屈で見どころのない)街」とか、ロクなのが出てこない。適度に都会でもう西側と変わりなく、東京から行っても大して刺激もないんだろうなと思っていた。

しかし……
確かに、ある点ではここはとてもヨーロッパ的な街だけど、この感じは何なんだろう。東洋人と一人も出会わなくて、社会主義的な建物が残っていて、やっぱりボロい建物もあって、そして、ありえないぐらいに人々が幸せそうで。

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↑要塞の中庭みたいな場所、太陽の下に並んでいる各国の戦車

この公園には数々の戦車や武器が展示されていて、砲台に上って嬉しそうに記念写真撮ったりしてる奴(西側から観光に来たっぽい)とかもいて、思わず笑ってしまう。

10年前に行ったプラハは、中世の暗さに旧社会主義の暗さが混じったような、でも徹底的に美しい、絵本のような(&文化的な)古都だという印象があった。ベオグラードは、社会主義の暗さと人々の明るさと、破壊と再生を繰り返した埃っぽさと、何より変わりゆくダイナミズムみたいなのが満ちていて、ものすごく混沌としている。

私たちは公園を抜けて、脇にある動物園へ入った。ここは、後で知ったのだが、映画「アンダーグラウンド」の撮影にも使われた場所だった(映画を見返して解ったけど、鳥類の檻のあたりとか)

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↑なんで一緒に鶏(この鶏はダルメシアン柄がお洒落なんでペット用品種だと思うけど…)?

この動物園が、ひとことで言うと大変ユルかった。まあユルいんだろうなと想像していたけど、それ以上だった。

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↑ライオンの世話しながらケータイで何か喋ってる飼育係

展示されている動物はさほど日本と変わらないのだが、草食動物(シカ類とかヒツジ類とか)の檻には、必ずニワトリが一緒に入れられているのである(笑)しかも、何てことないフツーのニワトリが。

おそらく掃除役として入れられてるんだろうが、ニワトリに目が行って目が行って、動物どころじゃなかった。さんざんセルビアの田舎町でニワトリを飼ってる家を目にしたせいもあって、私の中ではセルビア=ニワトリの国という印象が強い…

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↑お洒落な松が生えてたんで撮ってみました セルビアはやっぱ針葉樹の種類が多い

動物園はさすが子供たちで賑わっていた。やはり、戦争をしていた国だからか、こっちに来てやたら子供連れの幸せそうなファミリーを目にする機会が多い。

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↑そして、水鳥の檻には大量の亀が…これも掃除役か?にしても何匹いるんだつーの

それから動物園を出て、街なかのカフェでイタリアンを食べたり(真っ当な、ちゃんとしたイタリアンだった。旧ユーゴにはフランスやイギリスっぽい物は皆無なのだが、イタリアとスペインの影響はなぜか強い気がする)、ちょっと買い物したりして歩き回った。

大学の近くにはたくさんの学生が楽しそうに活発に歩き回っていたり、コンビニで買い物するだけでもお客さんとレジの店員との世間話みたいなやりとりがあったり、とにかく、笑顔の絶えない街なのである。

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↑パン屋のショーウインドーなのだが…セルビア人がそんなに亀好きとは…

朝から炎天下を歩き回って疲れたのでホテル・モスクワに帰って昼寝し、そしてまた街へ出てトラムでカレメグダン公園の周りとかを意味なく一周したりして(トラムのチケットは街中にあるキオスクで買い、車内でガシャンとパンチする機会でペラペラの切符に穴を開けるのだが、タダ乗りしてる人が多い模様…)気づいたら夕方。

買い物した荷物を置きにホテル・モスクワでくつろいでいたら、驚いた。
大音量で音楽が聞こえて来たのだ!!!

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↑なにごと?と思って覗いたホテルからの景色

それは、大音量でガンガンに鳴らされる普通のハウス・ミュージックだった。どうやら下の路上で誰かがターンテーブルを出してDJをやってるらしい(どっかの店のイベント?)
思えば、この国ではいつも音楽が鳴っていた。ウジツェへ向かう電車の中でも、ベオグラードへ向かうバスの中でも、いつもこんな四つ打ちのダンスミュージックが鳴ってるのだ。

やがて路上のDJは、NEW ORDERの「BLUE MONDAY」のリミックスをかけた。

私は、なんか物凄く驚いた。というか感動した。こんなに「BLUE MONDAY」が似合う都市があるだろうか?何となく思っていた、80年代NWが似合いそう…っていう感じが、ここに来て実証された。

とにかく、早く外に出なければ。

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↑慌てて歩いてたのでブレブレ

そうだ、今日は金曜の夜だった。どこから集まって来たのか、物凄い数の人々が路上に溢れていた。老若男女問わず、人々がベオグラードの夜に繰り出している。

後でwikipediaを見て知ったのだが、ロンドンのTIMES誌によると、ベオグラードは「ヨーロッパで最高のナイトライフの街」らしい。本当にそうだ。最高の夜が来た!!!体じゅうが震えた。

私は、この旅行でいちばん高揚していた。こんなにHAPPYな夜があるだろうか?
目抜き通りを人々が行き交い、女の子たちは精一杯お洒落してさっそうと歩き、そんな女の子たちをナンパする男の子がいたり、お洒落な通りではワインバーやオープンカフェなどで大人たちがくつろぎ、おじさん達が久々の再会なのか通りで立ち話をしていたり、路上では化粧品の実演販売が行われてたり、そしていつまでも音楽が鳴り続けているし、とにかくそこには物凄い熱気があったのだ。金曜の夜を待ちわびていた人達の熱気。

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↑噴水のまわりでたむろする人々

私たちは、ちょっと高級住宅地っぽい一角のカフェ(生演奏などがある)で食事をして、美味しいワインを沢山飲んだ。そしてトイレで並んでいたとき、横にいたちょっと年下ぐらいのパンキッシュな女の子が私を例の視線でジロジロと見回したので、私は思わず声をかけてみた。

ベオグラードに住んでるの?と聞くと、女の子はちょっとだけ驚いたようにYES、と答えた。私は東京に住んでいて、ここには初めて来たんだけど、とても素敵な街だね!
その途端、女の子はとても嬉しそうな顔になって、サンキュー、エンジョイ!と笑って言った。

ここ数日こっちに来てから、よそ者に対する好奇の目や、中国人!とからかうような視線や、あるいは逆に見知らぬ私たちに対する掛け値無しの親切や、フレンドリーな態度などがごちゃごちゃになっていて、正直めんどくさいというか、妙な居心地の悪さがずっと続いていたんだけど、彼女の笑顔で一気に晴れた。

その夜は本当に最高だった。お酒も食べものも美味しいし、店を三軒はしごして、私は心底満たされた気分になった。金曜の夜、最高の夜がこの街に降りて来て、誰もをHAPPYにしている。

ベオグラード最高!
私はこの街の悲劇の歴史を身を持って知ることなんかできないただの旅行者だけど、本当にこの街が大好きだよ。

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翌日の朝、パン屋さんでバルカン名物(?)の白パンを買い(ここの店員さんが超かわいかった。そんでやっぱ、客と普通に世間話をしていた)、お土産屋さんで、I LOVE BEOGRAD!という言葉が何カ国語でも書かれたカバンを買ったりして(いやげ物的なもんじゃなく、この店にはかなりデザインされててお洒落な小物が揃っていた)、空港へ向かった。ホテル・モスクワの従業員がタクシーを呼んでくれ、別れ際にもとても丁寧な対応をしてくれた。

そして、私たちはベオグラードを発ったのだ。さよなら、セルビア、さよなら、ベオグラード。本当に、旅行に来てこんなに去り難い気持ちになったのは初めてかもしれない。

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↑これはちなみにモスクワ上空。撮っちゃいけないらしいけど皆撮ってたんで…

たぶん近いうちに、私はまたこの辺りを訪れると思う。


この旅行記は、これで終わり。旅に終わりはないけどね。



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(ネタバレ含みます。)この映画を初めて観たのは、もう13年ほど前の上京したてだった頃、確か渋谷のシネマライズで観たのだ。当時から、この音楽が頭に残って、映像とかキャラクターとか、もちろん歴史の重みとか含めて、ひどく濃い映画だな~という印象だった。

そして再び、最近また観直してみた。やっぱりとても濃い映画だった。まるでセルビアの肉料理みたいに。
夢のようで、狂騒的で、ユーモアが効いていて、そしてとても哀しい。マルコが高田純次に似過ぎてるのだが…「むかし、ある所に国があった…」という言葉、そして晩年のイヴァンが地下道で「ユーゴスラビア?もうユーゴスラビアなんか無いよ。」と言われる場面、「兄弟が殺し合うなんて地獄だ」という言葉、今となってはマジで涙が出る。

舞台はベオグラードで幕を開け、第二次世界大戦やティトーの葬式などの実際の映像が挿入されてたりするのだが、そんな事実以上にキャラやストーリーや映像などがやっぱり濃くて映画的にも最高でよく出来ていて、だからさらに哀しくなってしまうのである。人々がどれだけあの歴史の中で振り回されて、そして生き抜いたのか、そして現在のベオグラードの様子と重ね合わせると…。

ラストシーン、大地からひとつの国が島のように切り離されて流れていくところ。音楽は相変わらず鳴り続けていて、狂騒の宴はまだ続いている。そして映画公開後、ユーゴは本当に完全に崩壊して、セルビアもモンテネグロの独立によりただひとつの小さな国になった。

これからセルビアが、ベオグラードがどうなっていくのか、私には到底予想がつかないけれども、あの幸せそうな人々の笑顔を観ていると、そんなことどうでもいいんじゃないかとさえ思えてくる。ベオグラードはもうかつてのような大国の首都ではないけど、あの街からは絶対に何かが生まれる、そんな感じを全身で感じたからだ。間違いなくベオグラードは、2009年現在、世界一面白い都市のひとつだと思う。

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